馬の年齢(馬齢)の数え方
競馬や乗馬で親しみのある馬たちにも人間と同じように年齢があるのをご存じですか?
人に限らず、如何なる生物においても、生きていれば皆が平等に歳を取りますね。
競馬で「やっぱり4~6歳がピークだね!」なんて聞いたことがありませんか?
馬にも馬専用の年齢(馬齢:ばれい)があり、馬の体の成長段階や能力の目安に年齢を指し示すことがあります。
犬や猫の年齢を人間に換算すると、実際の出生から数えた年齢よりも何倍を歳をとっていることが分かるように
動物にはそれぞれの生命活動にあわせた年齢・歳の数え方・呼称などがあります。
今回は馬の年齢(馬齢)についてご紹介していきましょう。
馬の年齢(馬齢)とは? 歳の数え方は?
実際の生まれた月や日は関係なく、どの馬も年明けに一斉に年を取ります。
例)2021年 1月1日時点の馬の年齢の考え方は?
2019年 3月1日生まれ ウマAちゃん 馬齢2歳 (出生から:1年10か月)
2019年 4月12日生まれ ウマB号 馬齢2歳 (出生から:1年8か月)
2020年 5月31日生まれ ウマCくん 馬齢1歳 (出生から:7か月)
私たち人間が年齢を聞かれる時は誕生日基準での満年齢を答えることがほとんどですが、馬の場合は実際よりも数か月早くに年齢が加算されてしまうのです。(馬は春生まれがほとんどのため)
「誕生日とは別に1月1日に一斉に歳を取る」何だかめでたいね♪
馬の年齢の数え方にはもう一つ数え方があります。
例えば、現在2歳の馬の場合は、明け3歳ともいうことができます。
なぜこのような数え方かというと、北半球の馬はほとんどが3月~5月の春の時期に生まれるためです。
1月に生まれることは基本的にないので、年明けに年を取る方法の方が世代別に把握しやすいのです。
逆に、南半球では半年ずれて7月1日や8月1日に年を加えることが多いです。
南半球では季節が反対になるから、半年ズレてカウントするんだね!
馬の年齢は、なぜ誕生日を基準にしないの?
なぜ、こんなややこしい歳の数え方をするのだろう?生まれてからの年齢でいいのでは?と思いますよね。
もし誕生日基準の満年齢を採用した場合のことを想像してみてください。
Q:春に開催される年齢条件のある競馬(2歳馬ステークスのようなレース)を開催するとき、
レース出走の参加条件に「条件:今年2歳になる馬」と年齢条件を設定した場合にどうなるか?
A:誕生日を迎えた馬(満2歳)とまだ誕生日を迎えていない馬(満1歳)が混じってしまう。
実年齢が1歳近く離れた馬が競うということにもなりかねない
このような状態を避けるため、1月1日に一斉に年齢を加算するのです。
馬齢って大事なんだね!平等を保つためにも大事な役割があるんだね!
また、年齢別に馬の呼称(呼び名)もあります
生まれたばかりの仔馬を「とねっこ(当年仔から転訛)」当年生まれの仔馬
逆に年を取った馬は「古馬(こば・ふるうま)」古い馬
2001年から変わった馬齢の数え方
実は日本では、2000年まで今とは違った数え方をしていたのをご存じでしょうか。
1月1日基準の満年齢ではなく、数え年で年齢が決まっていたのです。
数え年とは生まれた年を1歳とする考え方です。
例)2021年 1月1日時点の馬の年齢の考え方は?
2019年 3月1日生まれ ウマAちゃん 馬齢2歳 数え年3歳(出生から:1年10か月)
2019年 4月12日生まれ ウマB号 馬齢2歳 数え年3歳(出生から:1年8か月)
2020年 5月31日生まれ ウマCくん 馬齢1歳 数え年2歳(出生から:7か月)
海外では昔から「満年齢」を採用していました。日本では「数え年」を採用していました。
競馬が日本国内だけで完結していた時は、この方法でも特に問題はありませんでした。
しかし競馬の世界でも国際化が進み、日本の馬が海外のレースに出場したり、逆に海外から競走馬がやってきたりする場合に、日本の馬と海外の馬で実年齢が1歳ずれるためややこしくなってしまい、2001年から国際的な数え方に合わせることになったのです。
そのため、2000年以前の競馬の歴史を振り返る時は、書かれている歳よりも1歳引いて考えるようにしましょう。
「JRA賞最優秀4歳牡馬」を受賞しています。
2000年に「JRA賞最優秀3歳牝馬」を受賞したテイエムオーシャンが、2001年の馬齢変更により馬齢が変わったため、20001年に「JRA賞最優秀3歳牝馬」を再度受賞するという珍事が起きました。
馬の年齢は見た目でわかる?
ほとんどの場合、馬の見た目から正確な年齢を当てることはかなり難しいです。
- 0~3歳大きさやしっぽの長さでなんとなく年齢が区別できる
- 3~4歳個体によって様々だが、しっかり大人サイズに成長する
- 5歳~15歳大きな成長が無いのであまり年齢の見分けがつかない
- 15歳~筋肉の衰えでなんとなく年齢予想ができる
というのも馬は3~4歳で大人とされるサイズに成長します。0歳からその年齢までは大きさやしっぽの長さでなんとなく区別できますが、5歳~15歳くらいの馬に関してはあまり見分けがつきません。
それより上の年齢になってくると、今度は少しずつ筋肉が衰えてくるので、何となく予想ができるかもしれない、という程度です。
馬の年齢別の特徴について
では、それぞれの年齢の特徴について簡単に紹介したいと思います。
- 生まれてすぐ体重40~50㎏母馬のお腹の下に入れるほどの大きさ
- 生後半年5倍の約250㎏まで成長成長期真っ盛り
- 生後1年350㎏ほどまで成長大きさやしっぽの長さでなんとなく年齢が区別できる
- 1歳馬まだ仔馬の見た目見た目も小さく、たてがみやしっぽの毛も短いため、見た感じ幼い感じ
- 2歳馬大人と比べるとまだ筋肉が小さいためやや小ぶり体重は大人とほぼかわらない450~500㎏程
- 3~4歳十分に立派な大人体形に。筋肉が付き、競馬でも全盛期
- 5~10歳見た目の変化はほとんどない成長スピードが緩やかに落ちていく
- 11~15歳見た目の変化はほとんどない運動能力が徐々に衰えていく
- 15歳~見た目が衰え始める毛が白くなったり筋肉が落ちて痩せていく
※あくまでも参考程度に。
体高も母馬のお腹の下に入れるほどしかありません。
しかし半年後には5倍の約250㎏まで成長し、1年後にはさらに増えて350㎏ほどになります。・1歳馬ですが、この頃もまだまだ成長途中です。
見た目も小さく、たてがみやしっぽの毛も短いため、見た感じ幼い感じが見てとれます。・2歳馬になると、体重は大人とほとんど変わらない450~500㎏程度になります。
しかし、比べるとやはり大人の馬よりも筋肉が少ないためやや小さく、またしっぽも少し短いことが多いです。
たてがみやしっぽも生えそろい、筋肉もついて、競馬でも全盛期とされる年齢です。
成長のスピードが緩やかに落ちていきます。
・11~15歳も見た目こそ大きくは変わらないです。
運動能力は徐々に衰えていきます。・16歳あたりからは、ついに見た目にも衰えていく様子が表れ始めます。
分かりやすいところだと、顔の毛の色が少しずつ白くなっていきます。葦毛の馬はどんどん真っ白になっていき、それ以外の毛色の馬も、顔の星の部分やソックスと呼ばれる足先の白い毛の部分から、白髪のように全身に徐々に広がっていきます。
また毛色の他にも、痩せてきてアバラが目立ってきたり、歯が抜けたり、長年人を乗せてきた馬はその重さによって背骨がくぼんできたりもします。
馬の年齢は人間でいうと何歳?寿命は?何歳まで生きる?
馬の成長は、私たち人間と比べるとはるかに早く、大体3~4倍の速度で成長するといわれています。
馬の1歳(幼く小さい子供) →人間の6歳
馬の2歳(大人よりやや小さめ)→人間の12歳
馬の3歳(大人の見た目) →人間の17歳
馬が大人になるのは何歳から?
明け4歳(年が明けたら4歳になる、つまり現時点では3歳)の時点で、人間でいう20歳程度なので、
「3~4歳で大人になる」という考え方も納得ではないでしょうか。
【(馬の年齢-3)✕3+17=人間の年齢】と計算できます。
競馬を卒業する6~7歳の馬は、人間でいう30歳手前くらいに当たり、人にもよりますが確かに身体能力のピークが過ぎる頃といえるでしょう。
また馬の寿命は25歳程度といわれています。この年齢は人間でいうところの75歳程度で、私たち日本人からすると少し短命なように感じるかもしれませんね。
ただ馬は非常にデリケートな動物で、疝痛(腹痛)やちょっとした足の怪我からも大事になりやすく、なかなか寿命を全うできる馬はいないのが現状です。
乗馬クラブにいる馬の年齢は何歳?
乗馬クラブにいる馬の多くは8~20歳程度です。
日本では、大半の馬が競走馬となるべくして生まれます。
そのため、5~7歳くらいまでは競馬に向けてのトレーニングを積みつつ、レースに出ることが多いのです。
その後遅かれ早かれ競馬を卒業するわけですが、卒業してすぐに乗用馬となって乗馬クラブへ来ることはほとんどありません。
競走馬から乗馬クラブに来るまで
競走馬の頃は、何よりも「速く走る」ことを目的として調教されていますが、乗馬クラブで活躍できる乗用馬になるためにはまず「ゆっくり走る」、「ちゃんと止まる」という真逆のことを学ぶ必要があるのです。
その間、馬はそれまで学んできたことと全く逆のことを学ばなければならないため、リトレーニングは1年近くかかることもあります。(用途によってはそれ以上かかることもあります)もちろん競走馬の中にも、おっとりとした穏やかな性格の馬もいるので、そういう場合は若くして乗馬クラブへやってくる場合もあります。
馬術競技では10~16歳くらいの馬が多く活躍しています。
ちなみに馬術の世界では、良いパフォーマンスは馬が心身共に成熟してから、という考えのもと、
障害馬術は9歳、馬場馬術と総合馬術は8歳以上という規定があります。
(馬術の最高峰の競技である世界選手権大会およびオリンピック大会に適用されます)
それより上の年齢の馬も、身体能力こそ落ちてくるものの、プロの乗用馬として初心者クラスの人や初めて馬術競技へ挑戦する人等の心強い先生になってくれるため、乗馬クラブではまだまだ重宝されます。
しかし、20歳を超えるとさすがに体も衰えて人を乗せることも難しくなってくるので、養老牧場や観光地の牧場へ行く等、第三の馬生を始めることも多いです。
まとめ
馬は誕生日にかかわらず、1月1日で一斉に歳をとることは知らない人もいたのではないでしょうか。
それだけでなく、国際化の影響で、2000年までは数え年であった馬の年齢を2001年から満年齢へと変更したこともまた、あまり知られていないように感じます。
また、馬の成長はとても早く、3歳で既にほとんど大人の馬と同じサイズになり、4~5歳で身体能力の成長のピークを向かえ、7歳くらいまでには競馬を卒業します。その後、乗用馬となる場合はリトレーニングを経て乗馬クラブへ行き、20歳近くまで第二の馬生を歩みます。
馬の身体的な成長のピークは4~5歳ですが、精神的に成長して落ち着きを見せるのは10歳あたりを過ぎてからです。そこから先は、年齢が上がる毎に賢くて落ち着いた乗用馬になっていきます。
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