馬場を全力疾走する競走馬を応援する競馬、大きな身体を間近で感じられる乗馬など、日本にはさまざまな形で仕事をする馬たちが暮らしています。
馬一頭が生きていくためには、実はたくさんの人々の働きが必要なんです。
「馬に関わる仕事ってどんなものがあるんだろう?」
この記事では、その中からいくつかご紹介していきたいと思います。
馬と関わるお仕事とは
週末の競馬観戦が好き、趣味で乗馬をはじめた…。
馬というのは不思議な魅力を持った動物で、優雅な体つきや走る姿にたちまち魅了される方も少なくないはずです。
競馬場や乗馬クラブなどで馬の周りをよく観察すると、数多くの人が動き、働いていることに気づくと思います。
彼らはどのような仕事をしているのでしょうか。
騎手
まず馬の仕事、と聞いてよく想像されるのは競馬の騎手(ジョッキー)ではないでしょうか。
馬主や応援する人々の声援を背に競走馬に騎乗し、勝利を勝ち取る実力主義の職業です。
活躍次第によっては、大きな収入や名声を得ることのできる夢のある仕事と言えます。
競馬騎手になるためには騎手免許が必要となります。その免許を取得するためには
「JRA中央競馬協会」もしくは「NAR地方競馬協会」の二団体に設置されている競馬学校に入学し、騎乗技術、知識、法規などを身に着けます。
競馬学校の門戸は毎年受験倍率が十倍~三十倍と非常に狭く、体重や視力などの体格的な条件も満たさなければなりません。
厳しい訓練を乗り越えて騎手になった後も、アスリートとしてたゆまぬ技術向上への努力、さらに大きなレースにも物怖じしない精神力を鍛えつづけることが必要です。
調教師
競走馬は生まれた時から速くまっすぐ走れるわけではありません。
若馬のころから毎日厳しいトレーニングを重ねることによって、競走馬へと成長していくのです。
調教師は競走馬を飼育する厩舎を経営し、馬主から預かった馬を育成、調教してレースに出走できる馬へ仕上げていく職業です。こちらも免許制で、現在「JRA中央競馬協会」では約190人、「NAR地方競馬協会」では約500人に免許が交付されています。
競馬は競争である以上、常に勝ちつづけなければなりません。レースに勝利することにより馬主からの信頼を得て、かつ馬の健康や能力をつねに管理する責任重大な仕事です。
加えて、運営する厩舎のスタッフ、馬主、関係者と円滑なコミュニケーションをとるのも大切な業務のひとつといえるでしょう。
高度な騎乗技術や専門的な馬の知識を持っていることが必須になるので、調教師は騎手か、次に紹介する厩務員の経験者であることがほとんどです。
調教師の年収は騎手と同じく実力がものを言い、レースに勝利すればするほどたくさんに馬を預託されるようになり収入が上がっていきます。
厩務員
厩務員は、調教師の指示のもとで厩舎にあずかっている競走馬の世話をする仕事です。
彼らの仕事は、まだ日が昇らない明け方から始まります。
馬房の掃除、担当している馬の体調チェックをしてから、調教に送り出すために手入れを施し、馬装を整えます。担当馬が調教から戻ってくれば、身体を洗い、手入れをし、それぞれの馬に必要な食事を与えます。 馬は不潔を嫌う動物なので、つねに彼らの馬房、身の回りを清潔に保ち、健康状態を逐一観察します。
厩務員に必要なものは、一日を通して厩舎作業を行う体力と、毎日馬のそばに寄り添い、彼らのささいな体調の変化や感情の動きを観察する根気強さです。
繊細な馬を管理するのはとても気を遣う業務ですが、自分の担当している馬がレースで活躍すれば、達成感もひとしおです。
未経験でも求人している厩舎や牧場も多くありますので、熱意と根気があれば業務の中で馬に関する知識や技術を覚えていくことも可能です。
(※JRA厩務員のみ競馬学校で厩務員課程を卒業する必要があります。)
乗馬インストラクター
乗馬は、競馬とは違って一般の人が馬と触れ合うことができるスポーツです。
乗馬インストラクターは、普段生活しているとあまり関わることない「馬」の魅力を、たくさんの人に新しく紹介することのできる職業といえます。
乗馬クラブには、小さな子供から高齢の方まで幅広い年齢層の会員が在籍しています。
インストラクターには、さまざまな騎乗レベルの会員に安全に乗馬を楽しんでもらうために、騎乗技術や知識だけでなく、馬に対する姿勢を誰にでもわかりやすく伝えることのできる話術や柔軟なキャラクターも必要です。
馬と人がかかわる以上、起こるアクシデントに冷静に対応する力も求められます。
乗馬インストラクターになるには、乗馬クラブの会員としてインストラクター養成講座に参加するなど、実際にクラブで働いて技術を学んでいくのがいいでしょう。
乗馬クラブも乗馬未経験の人でも求人しているところがたくさんありますので、気になった方はぜひお近くのクラブを調べてみてください。
馬具、ファッション関連
先にご紹介してきた職業とはすこし毛色が違うかもしれませんが、
馬そのものに触れ合う仕事だけが、馬に関わる仕事ではありません。
たとえば、馬具。
人と馬との交流の歴史は長く、より速く、より長い距離を馬を傷つけず駆けるために馬具の進化はいまも進んでいます。
ほとんどの馬具は革でできており、定期的にメンテナンスをしたり、買い替える必要があります。海外から輸入される馬具も多い中、日本で店舗を構えられている馬具販売店もたくさんあります。
また、ファッション業界でも馬はよく扱われるモチーフの一つです。鍛え上げられた馬や騎手たちの持つうつくしい姿に発想を得て、コレクションを発表しているメゾンも多くありますよね。
たくさんの馬を飼育できる環境は限られていますし、いざ馬と関わる仕事となると、移住や生活スタイルをがらりと変える必要性が出てくることもあるかと思いますが、現実的にそれはちょっと難しい…という方もおられるのではないでしょうか。
馬にまつわる道具産業や、ファッション業界に関わることも、馬を愛する人を増やすことができる「馬に関わる仕事」といえます。
ご自身のスタイルに合った馬との付き合い方を探してみるのも、良いかもしれませんね。
まとめ
馬は私たちに夢を与えてくれる動物ですが、同時に人に生活を頼って生きる繊細な生き物でもあります。命を預かる責任の大きな仕事であることを自覚しておく必要があります。馬が好きだという気持ちと、いつまでも学び続ける向上心を持てば、たとえ未経験でも門戸が開いています。熱意をもって、ぜひ馬の世界の扉をたたいてみてください。
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